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6月に観た映画

2019/6/5 「ニューヨーク公共図書館」エクス・リブリス フレデリック・ワイズマン 監督

2017年 アメリカ 205分

 図書館を運営者の視点で映像化している映画。図書館は「市民活動に必要な知識の貯蔵庫」情報の発信基地としての重要拠点。この図書館は、市の税金と寄付金で賄っている。市民のための図書館として利用しやすいように、計画され運営されスタッフが配置されている様子は、大きな会社を経営しているようだ。税金だけで運営されている日本の図書館との、運営方法の違いに驚く。この図書館は、日本のカルチャーセンターに似ている。

 講座やイベントがいっぱい。ゲストを招いて対談する本の会、音楽のコンサート、就職案内、詩人が朗読する、市民のためのパソコン教室・ダンス教室・読書会、点字教室の講座や障害者のための住宅手配、決して、上から管理する関係ではなく、横ならびの目線で接してくれているのが嬉しい、PCの貸出を行って、情報難民にならないように、サポートしている。スタッフの笑顔が、とても眩い輝きを放っている。「図書館と笑顔」って相対するものではないんだな。

 

2019/6/11 氷上の王 ジョン・カリー (原題 The Ice King)89分 2018年 英国

 主人公のジョン・カリーは、イギリスの男子フィギュアスケート選手で1976年インスブルックの冬季五輪オリンピックの金メダリスト。約40年前のフィルムで構成されたドキュメンタリー映画。「スケート界のヌレエフ」と言われたように、その体のしなやかさや表現は、まるでバレエを観ているようだ。ソロだったり、群舞であったりするが、その企画・構成・演技力に、あっと言う間に映像に引き込まれ、観るものを飽きさせない。残念なのは、映像がボケていたり、色あせていたりする。特に「牧神の午後」は、なめらかな動きに、素晴らしい表現力が加わり、息をつかせない。

 

2019/6/12 私は、マリア・カラス 2017年 フランス 114分

 インタビューやニュース映像で作り上げた、「マリア・カラスの自叙伝ドキュメンタリー映画」1923年生まれ、1977年54歳で没。40年前の出来事。その映写時間が約2時間は長い。ご存知20世紀最高のオペラ歌手、歌姫といわれた。彼女は、技術に裏付けされた歌唱と心理描写と演技によって、登場人物を浮かび上がらせ多くの聴衆を魅了した。

 

2019/6/26 クリムト エゴンシーレとウィーン黄金時代 2018年 イタリア

 クリムト(1862年~1918年)とその弟子のシーレ(1890年~1918年)大流行のスペイン風邪で同年に亡くなる。その没後100年に製作された美術ドキュメンタリー映画。

美術館に行く前にチョット歴史を知っていくと興味深い。19世紀末、ウィーンに花開いたサロン文化の社会的な背景を説明してくれる。エゴンシーレの裸婦の絵を男性の収集家は横に飾りたがるというが、本当は縦の絵だったというのは、興味深い。

 

2019/6/28 ホワイトクロウ 伝説のダンサー レイフ・ファインズ監督 2018年 127分

 1961年、ソ連から亡命し、世界3大バレエ団で活躍した伝説的なダンサー、「ルドルフ・ヌレエフ」の人生が描かれている。ヌレエフを演ずるのは、オーディションで選ばれた現役ダンサー。セルゲイ・ポルーニンが同僚ユーリ役で髪を金髪にして出演している。

ヌレエフが、17歳で最初に入った名門バレエ学校で名教師プーシキンに師事しチャンスを自分から作っていく。レイフ・ファインズ監督が、プーシキンを演じている。 ヌレエフは

フランスの空港で亡命する時、「ここで連行されたら、注射を打たれ、収容所で牢屋に入れられて、踊りを続けることが出来ない」と、回想シーンが怖い。手に汗握る。