秋の映画

2021/8/30 ドライブ・マイ・カー 濱口竜介監督 村上春樹原作 2021年 日本

 映画を見ることは、異世界を旅するようなこと。いきなり、最初から、異質な声が聞こえる。意味不明で。3時間の映画なので、すっかり眠くなってしまった。「音」主人公の妻の名前だけど、音が気になる映画だ。車のエンジン。音楽のない静寂な映像。そして、「声」が不協和音で不愉快になる。

みさき(登場人物)が言う、「嘘つきばかりの人間の中で生きるには、何が本当かわからないと生きて行けない」だから、「嘘言う人はすぐわかる」って。

 

2021/9/10 岩波ホール 大地と白い雲 ワン・ルイ監督 2021年 中国

 仲の良い男女は、見ていてとても、気持ちが良い。しかし時間とともに、男の心は都会へと向かい女から心が離れていく。とどまった女が、過酷な土地で、放牧しながら、子供を一人で育てるのは難しい。ということが男にはわからない。モンゴルの広大な空と草原に、白い雲が風に動く。

 

2021/10/5 モロッコ、彼女たちの朝 マリヤム・トゥザニ監督 2019年

 説明のない映画 もうすぐ生まれそうな大きなお腹をかかえて、「仕事はありませんか?」と家のドアをノックし続ける若い女。そんな女を誰が雇おうというのか。

今日のねぐらもないまま、他人の家の軒先に疲れ果てて座り込む。

それを見かねた、夫を海で亡くした女性が宿を提供する。

事情は何も話されないまま、「未婚の妊婦を助ける未亡人」というコメント。

とても、手ひどい表現だ。事情がわからないままでは共感できない。

 

モロッコ・イスラム社会では、夫のいない女は子供を産めない。それは犯罪だから、そして、産んだ子供は歓迎されない、社会保障などの権利を満足に得られない。また、夫と死別・離婚した女性の社会的地位はとても低い。写真がとても美しい、朝の光。路地裏に差す光。夜中の雑踏の光。わずかな希望。